2026.09.28

お伊勢参りの旅人を支えた「餅街道」の歴史:伊勢志摩で愛され続ける老舗の物語

はじめに:伊勢志摩の旅と餅の深い関係

三重県の伊勢志摩地方には、古くから多くの人々に愛されてきた有名なお餅がたくさんあります。伊勢神宮へ続く参拝の道は、別名で「餅街道」と呼ばれるほど、お餅屋さんが集まる特別な場所でした。

なぜ、この地域にはこれほど多くのお餅が生まれ、今も残っているのでしょうか。その理由は、江戸時代に日本中で大ブームとなったお伊勢参りの歴史と深く結びついています。今回は、伊勢志摩のお餅が持つ歴史的な物語と、各店舗の情報や特徴をあわせて分かりやすくご紹介します。

江戸時代の旅人を支えた伊勢志摩の餅の歴史

お伊勢参りのブームと歩く旅人のエネルギー源

歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」
江戸時代のお伊勢参りを描いた
歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」

江戸時代、全国から何百万人もの人々が、何日もかけて歩いて伊勢神宮を目指しました。当時の旅は想像以上に過酷で、旅人たちは常に体力を消耗していました。

そこで大人気となったのがお餅です。手早く食べることができ、しっかりとお腹にたまって元気を補給できる最高の食べ物でした。また、当時は砂糖がとても貴重な時代です。長旅で疲れた身体に、甘いあんこを合わせたお餅は極上の癒やしとして、多くの旅人たちに喜ばれました。

東海道から伊勢街道へ続く「餅街道」の誕生

餅街道 地図
餅街道 地図
参照元:観光三重

日本の大動脈であった東海道から、伊勢神宮へと向かう道を「伊勢街道」と呼びます。この街道沿いには、旅人が一息つきたくなるような川の渡し船の近くや、険しい坂道の手前に多くのお餅屋さんが店を構えました。歩いて旅をする人々の移動の節目に合わせた場所にお餅屋さんができたことで、自然と多くのお餅が連なる「餅街道」が形作られていきました。

東海道と伊勢街道における餅文化と旅人の移動実態

伊勢志摩のお餅文化を紐解くには、江戸時代における「交通史」と「旅人の暮らし」に目を向ける必要があります。街道沿いにお餅文化が花開いた背景には、当時の移動実態に即した明確な理由がありました。

東海道から伊勢街道(参宮街道)へ続く交通史

江戸時代の東海道は幕府が直轄した五街道の筆頭であり、政治・経済の大動脈でした。この東海道と伊勢神宮へと続く「伊勢街道(参宮街道)」は、参宮客の行き交う重要なルートとして一体不可分の関係にありました。

七里の渡跡
七里の渡跡
参照元:観光三重
日永の追分
日永の追分
参照元:Wikipedia
  • 七里の渡しから始まる参宮ルート
    東海道42番目の宿場町である桑名宿には、名古屋側の熱田宿から海上を船で渡る「七里の渡し」がありました。桑名は東海道の要衝であると同時に、伊勢神宮の「一の鳥居」が建てられた聖地への玄関口でもありました。船を降りた旅人たちは、ここから本格的な陸路の旅をスタートさせました。
  • 日永追分における合流と分岐の構造
    四日市宿(現在の三重県四日市市)を南下した場所に位置する「日永追分(ひながおいわけ)」は、東海道と伊勢街道の分岐点であり、交通史において極めて重要な結節点でした。全国から東海道を行き交う旅人の多くが、この日永追分で伊勢街道へと進路を変えました。寛政3年(1791年)に建てられた道標には「右 京いせみち」「左 江戸みち」と刻まれており、参宮客を導く象徴的な場所として茶屋が立ち並び、賑わいを見せました。

旅人の過酷な移動と「餅」の合理的な機能性

徒歩旅が基本であった江戸時代、お餅は単なる和菓子ではなく、旅を維持するための実質的な社会インフラ(エネルギー源)でした。

  • 旅人の行程と消費エネルギーの実態
    江戸時代の旅人は、1日に約8里から10里(約32km〜40km)を歩くのが一般的でした。早朝の午前4時頃に出発し、夕方4時頃に次の宿場町へ到着するという過酷な行程です。米を搗(つ)いて凝縮させたお餅は、少量で高いカロリー(熱量)を得られるため、過酷な長旅を支える最高の効率的エネルギー源でした。
  • 「一日二食」の生活習慣と茶屋の間食文化
    江戸時代の庶民は基本的に「一日二食(朝・夕)」の生活でした。旅人は早朝に宿で朝食を済ませると夕方まで本格的な食事を摂らなかったため、街道沿いの茶屋で食べるお餅や団子が現代でいう「昼食」の役割を果たし、疲労を和らげる貴重な栄養補給となっていました。
  • 砂糖の流通史とお餅の味わいの変化
    江戸初期まで砂糖は貴重な輸入高級品であり、初期のお餅には塩あんや小豆本来の味を活かした餡が使われていました。しかし、江戸中気に八代将軍・徳川吉宗が国産サトウキビ栽培を奨励したことで砂糖の流通量が増加。甘いあんこのお餅が普及し、長旅で低血糖状態にあった旅人たちの体を癒やす特効薬として爆発的な人気を博しました。

街道沿いにおける餅屋の立地特性と形状の工夫

街道沿いのお餅屋さんは、旅人の「歩行心理」と「地理的条件」に合わせた合理的な場所に点在していました。

  • 宿場町の「境界(結界)」としての立地
    名物餅屋の多くは、宿場町の中ではなく「峠の頂上」「川の渡し船の手前」「急な坂道のふもと」といった難所に位置していました。これらは物理的な試練の場所であると同時に、旅人にとっての心理的な空間の切り替わり(結界)でもありました。難所を越えた安心感や、これから挑む緊張感の中で、お餅を食べて一息入れる需要が集中したのです。
  • 携行性と保存性を考慮した「形状」の工夫
    街道沿いのお餅に薄く平らな形や細長い形が多いのは、旅人が片手で手早く食べられるようにするためです。また、買い求めたお餅を竹の皮などに包み、「懐(ふところ)」に入れて持ち歩きやすくする生活の知恵でもありました。

伊勢街道沿い(桑名・四日市・松阪)の主要な名物餅

伊勢市内に至る道中(伊勢街道沿い)にも、旅人に愛された歴史ある名物餅が今も残っています。

安永餅(桑名宿)

安永餅
参照元:永餅屋老舗

七里の渡しを降りた桑名宿の南端・安永の地で誕生。旅人が懐に入れやすいよう、お餅を細長く平らに伸ばし、中に粒あんを入れて両面を香ばしく焼き上げているのが特徴です。

なが餅(四日市宿)

なが餅
参照元:なが餅 笹井屋

天文19年(1550年)創業という屈指の歴史を誇ります。日永の手前に位置し、戦国武将・藤堂高虎が若かりし頃に食べて力を得て出世したという「出世餅」の逸話が残されています。

さわ餅(松阪周辺)

さわ餅
参照元:観光三重

松阪や遷宮の道中で親しまれたお餅。四角く切った平らなお餅であんこを挟むように包んでいます。「竿(さお)のように長い餅」から転じたという説などがあり、白とよもぎの2種類が伝統的です。

※安永餅(桑名)となが餅(四日市)は見た目が非常に似ていますが、桑名の安永餅は香ばしい焦げ目がしっかりついて香ばしく、四日市のなが餅は焼き目が控えめでより柔らかい食感が特徴です。

伊勢志摩を代表する老舗餅屋と名物餅

1. 二軒茶屋餅(二軒茶屋餅角屋)

二軒茶屋餅
参照元:二軒茶屋餅
  • 歴史と物語: 天正3年(1575年)創業という、伊勢で最も古い歴史を持つお餅です。かつて伊勢湾から船でお参りに来る人々が上陸した、川の船着場近くにありました。当時は「角屋」と「浅香屋」という2軒の茶屋があったことから、その名がついたと言われています。織田信長の時代から参拝客を迎え続けています。
  • 特徴・おすすめ商品: 香ばしいきな粉をまぶした薄皮のお餅の中に、あっさりとした黒糖のあんこが入っているのが特徴です。
    • おすすめ商品: 二軒茶屋餅(きな粉・黒糖あん)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市神久1-4-28
    • 営業時間: 8:00〜17:00(お餅がなくなり次第終了)
    • メモ: 毎月25日には、黒糖ではなく「白あん」の特別な二軒茶屋餅が販売されることでも知られています。
    • 公式リンク: 二軒茶屋餅角屋 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「きな粉の香ばしい香りと、中の黒糖あんのコクが抜群に合います。甘さが控えめなので、一度に何個でも食べられてしまう美味しさです。」
    • 「川沿いにある昔ながらの建物の雰囲気が素晴らしく、江戸時代にタイムスリップしたような気持ちでお餅を味わえました。」

2. 太閤出世餅(太閤餅)

太閤出世餅
参照元:太閤出世餅
  • 歴史と物語: 永禄8年(1566年)創業の、豊臣秀吉ゆかりの縁起の良いお餅です。まだ天下統一を成し遂げる前の秀吉が伊勢神宮を参拝した際、このお餅をとても気に入り、美味しく食べたというエピソードが残っています。この歴史にちなんで「太閤」や「出世」という名前がつけられました。
  • 特徴・おすすめ商品: あっさりとした粒あんを、焦げ目のついた丸く平らなお餅で包んでいます。
    • おすすめ商品: 太閤出世餅(粒あん・焼き餅)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市宇治今在家町63(伊勢神宮 内宮鳥居前)
    • 営業時間: 8:30〜17:00(売切次第終了)
    • 公式リンク: 太閤餅 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「お餅の表面についた程よい焦げ目がとても香ばしく、中の粒あんの優しい甘さを引き立てています。」
    • 「平らで小さめのサイズなので、参拝の合間に歩きながらでも食べやすかったです。出世の縁起物なので、家族へのお土産としても大変喜ばれました。」

3. 赤福餅(赤福本店)

赤福
参照元:伊勢志摩観光ナビ
  • 歴史と物語: 宝永4年(1707年)創業の、全国的にも有名なお餅です。お餅の形は、伊勢神宮の境内を流れる五十鈴川の清流を表現しています。あんこにつけられた三筋の波の形は清らかな川の流れを、中に入っている白いお餅は川底の小石を表しています。江戸時代から変わらぬ形と味わいで、今も多くの参拝客を迎えています。
  • 特徴・おすすめ商品: やわらかいお餅の上に、きめ細やかでなめらかなこしあんをのせた銘菓です。
    • おすすめ商品: 赤福餅(こしあん)、赤福氷(夏季限定)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市宇治中之切町26(おはらい町本店)
    • 営業時間: 5:00〜17:00(朝早くから営業、繁忙期変更あり)
    • 公式リンク: 赤福 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「なめらかなこしあんと、驚くほど柔らかいお餅の組み合わせは、いつ食べても感動します。」
    • 「本店の畳の間で、目の前を流れる五十鈴川を眺めながら、温かい番茶と一緒に食べる赤福餅は最高の贅沢です。夏に食べられるお餅入りの抹茶かき氷も外せません。」

4. へんば餅(へんばや商店)

へんば餅
参照元:へんば餅
  • 歴史と物語: 安永4年(1775年)創業のお餅で、伊勢神宮の手前にある宮川の近くで誕生しました。当時は宮川に橋がなく、神聖な神宮の領地へ入る手前で、乗ってきた馬を返して(返馬:へんば)船で川を渡りました。その「馬を返す場所」にあった茶屋でお餅を出していたことから、「へんば餅」の名がついたと言われています。味の宿 みち潮
  • 特徴・おすすめ商品: 米粉を使った独特の歯ごたえがあるお餅に、両面の香ばしい焦げ目が特徴の焼き餅です。
    • おすすめ商品: へんば餅(こしあん・焼き餅)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市小俣町新保1430-1(本店のほか、伊勢市駅前やおはらい町にも店舗あり)
    • 営業時間: 9:00〜17:00
    • 定休日: 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
    • 公式リンク: へんばや商店 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「米粉を使ったお餅ならではの、独特の歯ごたえともちもち感がクセになります。両面の焼き目がとても香ばしいです。」
    • 「伊勢のお土産といえば赤福が有名ですが、地元の方に勧められてへんば餅を食べてからすっかり虜になりました。伊勢に来たら絶対に立ち寄るお店です。」

5. 御福餅(御福餅本家)

御福餅
参照元:御福餅
  • 歴史と物語: 宝永4年(1707年)創業とされる二見町の老舗です。名勝「夫婦岩」で有名な二見興玉神社の参詣客をお迎えしてきた歴史を持ちます。伊勢神宮参拝の前に二見の海岸で身を清める「浜参宮」の旅人たちの旅路を支えてきました。店名の「御福」は、二見興玉神社に祀られる天鈿女命(あめのうずめのみこと)の「御福」やお授けくださる福徳にあやかったもので、食べた人に福が訪れるようにとの願いが込められています。
  • 特徴・おすすめ商品: 二見浦に寄せる波の形を手作業で表現したこしあんが特徴です。あっさりとした上品な甘さが親しまれています。
    • おすすめ商品: 御福餅(こしあん)、御福マック(あずきアイスキャンディー)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市二見町茶屋197-1
    • 営業時間: 9:00〜17:00
    • メモ: 全国の百貨店などで催事販売が行われることもあります。
    • 公式リンク: 御福餅本家 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「職人さんが手で波の形をつけているあんこが、とても美しく芸術的です。あっさりとした甘さに感じられて食べやすいです。」
    • 「本店の近くにある夫婦岩をお参りした後に寄るのが定番です。昔ながらの手作りあずきアイスキャンディー(御福マック)も、さっぱりとしていて美味しいです。」

【関連記事】

[ブログカード:御福餅本家の歴史と名物餅の魅力を徹底解説|夫婦岩参拝とあわせて楽しむ伊勢志摩の老舗和菓子]

6. 神代餅(勢乃國屋)

神代餅
参照元:勢乃国屋
  • 歴史と物語: 伊勢神宮内宮の宇治橋前にお店を構える「勢乃國屋」の名物餅です。名称は、神々が降臨した神聖な時代である「神代(かみよ)」に由来し、古来より神々への捧げ物や人々の繁栄を祈る文化と結びついています。着色料や保存料を一切使わず、厳選された天然素材にこだわって作られており、参拝客の無病息災や長寿を願う縁起の良いお餅として愛されています。
  • 特徴・おすすめ商品: 天然の天然よもぎ(草餅)を練り込んだ美しい緑色のお餅で、中には上品で風味豊かなつぶあんが入っています。よもぎ本来の豊かな香りとほのかな苦みがあんこの甘さを引き立てます。
    • おすすめ商品: 神代餅(よもぎ餅・つぶあん)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市宇治今在家町117(伊勢神宮 内宮鳥居前)伊勢神宮内宮前勢乃國屋本店「伊勢名物神代餅」
    • 営業時間: 9:00〜16:30
    • 定休日: 年中無休
    • 公式リンク: 勢乃國屋 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「よもぎの自然で爽やかな香りがしっかりと感じられてとても美味しいです。添加物を使っていない素朴でやさしい味わいに安心感があります。」
    • 「内宮の宇治橋からすぐの場所にあるので、参拝後のひと休みにぴったりでした。つぶあんの甘さも控えめで、お抹茶や温かいお茶によく合います。」

7. 岩戸餅(岩戸屋)

岩戸餅
参照元:岩戸屋
  • 歴史と物語: 明治43年(1910年)創業の老舗「岩戸屋」の名物和菓子です。日本神話の「天の岩戸」伝説に由来し、岩戸隠れをした天照大神を神楽の舞で導いたとされる天鈿女命(お多福)の目出度い古事にちなんで謹製されています。開運や招福の願いが込められた縁起物として、長年にわたりおはらい町の入り口で参拝客を温かく迎えています。
  • 特徴・おすすめ商品: 柔らかいお餅の中に良質なこしあんを包み込み、仕上げに最高級の黄な粉(きなこ)をたっぷりとまぶした名物餅です。きな粉の香ばしさと滑らかなあんこの風味が絶妙に調和しています。
    • おすすめ商品: 岩戸餅(きな粉・こしあん)
  • 店舗情報:
    • 所在地: 三重県伊勢市宇治今在家町58(おはらい町入口)
    • 営業時間: 9:00〜17:00
    • 定休日: 年中無休
    • 公式リンク: 岩戸屋 公式サイト
  • 利用者のレビュー:
    • 「きな粉の香ばしい風味が口いっぱいに広がり、やわらかいお餅となめらかなこしあんのバランスが最高です。」
    • 「おはらい町の通りに入ってすぐのお店で買いやすく、お土産用に購入しました。お多福のパッケージも縁起が良くて喜ばれました。」

伊勢志摩「餅街道」名物餅 7店舗のアクセス・ロケーションマップ

今回ご紹介した7つの老舗餅店は、伊勢街道沿いから内宮鳥居前(おはらい町)、二見浦エリアにかけて点在しています。参拝ルートや移動手段に合わせて巡る際の参考にしてください。

エリア別ロケーション案内

  • 内宮周辺・おはらい町エリア(徒歩で巡れる集中エリア)
    • 赤福本店 / 太閤餅 / 勢乃國屋(神代餅) / 岩戸屋(岩戸餅)
    • 伊勢神宮 内宮の鳥居前および「おはらい町」通り沿いに集中しているため、参拝に合わせて数店舗を一度に巡ることができます。
  • 宮川・伊勢市内エリア(街道の要所)
    • へんばや商店 本店:旧伊勢街道沿い、宮川の手前(小俣)に位置します。
    • 二軒茶屋餅角屋 本店:勢田川の舟着場近く(神久)に位置し、川沿いの風情ある建物が目印です。
  • 二見エリア(浜参宮ルート)
    • 御福餅本家 本店:名勝・夫婦岩や二見興玉神社の参道近くに位置しています。

現代の旅として楽しむ伊勢志摩の餅巡りの注意点

伊勢志摩のお餅は、職人たちが毎日手作りしている伝統の味です。現代の旅行の中でこれらのお餅を美味しく楽しむためには、いくつかの大切な注意点があります。

  1. 賞味期限がとても短い昔ながらの製法で作られているため、多くの名物餅は保存料が使われていません。そのため、賞味期限が当日中や数日以内と非常に短いです。お土産として購入する場合は、渡す日にちをよく確認しましょう。
  2. 固くなりやすい性質がある本物のお餅を使用しているため、時間が経ったり冷えたりすると固くなる性質があります。購入したその日のうちに、できたてを現地で味わうのが一番のおすすめです。
  3. お店の営業時間に注意する老舗のお餅屋さんは、朝早くから営業している代わりに、お餅が売り切れ次第終了となるお店も少なくありません。お目当てのお餅がある場合は、早めの時間帯に訪問することをおすすめします。

伊勢志摩の餅と歴史に関するよくある質問

Q. 遠方に住んでいるのですがお取り寄せは可能ですか?

A. 一部の店舗では、公式の通信販売サイトから注文して全国へ発送してもらうことが可能です。ただし、お餅の賞味期限が非常に短いため、お届け先への到着日が賞味期限の当日になる地域もあります。注文する前にお届けに日数がかからないかを必ず確認してください。

Q. 現地のお店に行く際、予約は必要ですか?

A. 通常の購入であれば予約は必要ありませんが、週末や大型連休などの観光シーズンには大変な行列ができることがあります。また、午後になると当日分のお餅が売り切れてしまうお店も多いため、予約をしない場合は午前中の早い時間に訪問することをおすすめします。

Q. 江戸時代の旅人は毎日お餅を食べていたのですか?

A. 毎日ではありませんが、旅の途中の大きな楽しみとして頻繁に食べられていました。当時は現代のように食事ができる場所が多くなかったため、街道沿いのお餅屋さんは貴重な休憩所であり栄養補給の場所でした。

Q. なぜ伊勢のお餅は平らな形や波の形が多いのですか?

A. 旅人が素早く手で持って食べやすいように平らな形に工夫されたと言われています。また、赤福餅は「五十鈴川の清流」、御福餅は「二見浦の寄せる波」を表現しているように、川の清流や海岸の波など、伊勢の自然風景や歴史をお餅のデザインに込めたものが多いのも特徴です。

Q. 昔のお餅も今と同じように甘かったのですか?

A. 創業当初は、砂糖が手に入りにくかったため、塩で味付けをしたあんこや、黒糖を使ったあんこが主流でした。江戸時代の途中から砂糖の流通が増えたことで、徐々に現代のような白いお砂糖を使った甘くて美味しいあんこへと変化していきました。

まとめ:歴史を感じながら味わう伊勢志摩の餅

伊勢志摩のお餅は、単なる美味しい和菓子というだけでなく、過酷な旅を乗り越えてきた人々の歴史と知恵が詰まった大切な文化財です。

織田信長や豊臣秀吉の時代、そして江戸時代の旅人たちが感動した味を、私たちは今でも同じように味わうことができます。神宮への参拝の歴史や、かつての旅人たちの移動の様子に想いを馳せながらお餅を食べることで、伊勢志摩の旅はさらに深く、素晴らしいものになるでしょう。ぜひ、現地でそれぞれの伝統の味を確かめてみてください。

重要部分の箇条書きまとめ

  • 伊勢志摩には江戸時代のお伊勢参りの旅人を支えたお餅の歴史がある
  • 徒歩での過酷な長旅において、お餅は効率の良いエネルギー源だった
  • 街道沿いのお餅屋さんは、渡し船の近くなど旅人の移動の節目に誕生した
  • 二軒茶屋餅や太閤出世餅は織田信長や豊臣秀吉の時代から続く老舗である
  • 伝統のお餅は保存料がなく賞味期限が短いため、現地で早く食べるのが鉄則である

参考文献

  • 近藤 倖造(著)『伊勢の餅街道を歩く』伊勢文化舎
  • 三重県生涯学習センター(編)『みえの歴史街道:伊勢街道の歩みと文化』
  • 伊勢神宮崇敬会(編)『お伊勢まいりと街道の歴史』

筆者:小﨑 拳太郎

タグ

#スイーツ #歴史
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